従来は玉川上水と名の付く資料を中心に注目していて(しかし江戸時代にはあまり注目しない)、その他はあまり熱心には注目していませんでした。しかし、最近の成り行きではどうもそれだけでは足りない感じだったので、少し新しい資料にも目を通そうと、図書館で「これは」という本を3冊見てきました。(最初の1冊は上北沢の図書館、残り2冊は永福図書館でした)
図説 江戸・東京の川と水辺の事典 §
ともかくでかい本です。
情報量も、網羅的で圧倒的です。
特に、江戸時代以前から江戸時代初期に掛けての河川の変遷に関する記述がこれでもかと続くのは圧倒されます。
玉川上水に関しても、総ページ数の割合はそれほど多くはないものの、中身の濃さは圧倒的かつオリジナリティがあります。
とはいえ、どうも圧倒的な情報量で何か結論を出してしまわねば収まらない、粘着的な印象も受けます。分からないことは分からないまま、サラッと流してしまうタイプではないようです。
そういう意味で、記述内容はきちんと裏付けと評価を自分で下しながら読まないと、危ういかな、という印象を持ちました。とはいえ、当然私ごときが裏付けや評価を扱えるわけもなく、結論は「お手上げ」です。(なんと情けない)。
ともかく、付き合い方からして考え込む本です。
川の地図辞典 江戸・東京/23区編 [フィールド・スタディ文庫1] §
こちらは、打って変わって地図ベースの基本情報の収録に徹したシンプルな本でした。ただ、私から見ると突っ込みが浅い感があって、特に知りたいことまでは届いていない感じです。
ただ、1つだけ面白いことに気づきました。高井戸から神田川の上流を写したという古い写真が掲載されていたのですが、右手に林が見えるのです。おそらく、そこが高井戸丸太の本場と想定される地域です。文字知識から想定した状況がリアルな写真の中に見えた(かもしれない)のは興味深いことでした。
江戸上水道の歴史 §
いろいろと興味深い記述のある本です。玉川上水、神田上水に関する記述も手厚く、いずれ精読が必要と思いました。(今日は本当にぱらぱらとしか見ていない)
ちなみに、199ページの以下の記述はゾクッと来ましたね。
神田上水より分水を引いている多摩郡上高井土(戸)宿・下高井土宿・永福寺村・中野村・久我山村・雑色村の六カ村については、もともと井の頭池は多摩郡村々の用水であったから、上水になっても水料は納めないのである。
神田上水の下高井戸の分水です。
これは明らかに玉川上水の誤記ではあり得ません。おそらく、神田川から離れて合流する支流と考えていたものは、ここでいう分水に当たると思います。
これらの支流を明確に「分水」と位置づけられるとすれば、下高井戸の光景がガラッと変わって見えます。
ちなみに玉川上水下高井戸分水は、この神田上水下高井戸分水に合流することになり、異なる水源による分水が合流していることになります。